価値を生み続ける「デザイン」の3大系
狭義のデザインというのはDTPが登場した時点でコモディティ化に向かってて、それは今も一層加速している。今後価値を生むデザインは、1つは職人、1つはソリューション、1つはマルチタレント、の3つに分化していくだろう。
『デザイン』というとき、多くの人はイラストや装飾で工夫を凝らす事によって体裁を保てるという意味に感じることが多いようだ。それは、かつて、文字を置いたり、写真を載せたり、というまさに「作る」作業それ自体が専門性を持ち、そこに価値があったからである。
Macの登場でDTPが一般に普及し、「作る」デザインのコモディティ化は今も加速している。そして、それらの相対価値は恐るるべく下がっている。中国や韓国などに外注されるケースを挙げるまでもなく、肌で感じることであろう。
「作る」デザインの価値の枝葉が冬枯れによって落ちる時、今後、幹として残るであろう『デザイン』の価値は、主に次の3つに分化していくだろうと想像できる。
1つは、「職人」のデザイン。これは、いわゆる「デザイナー」が最も得意とするところで、インクや紙のことを知り尽くし、レイアウトを知り尽くし、クオリティの高さで勝負すること。または、タイプフェースデザイナーや、イラストレーター化したデザイナーもその中に含めることが出来る。求められる事は専門性であり、経験と才能。
もう1つは、「ソリューション」のデザイン。コンサルティング能力と、ディレクション能力を兼ね備え、最適な解を導き出すことによってクライアントの要望に最大限応えるデザイナー。広告代理業を主体とするデザイン会社や、広告代理店のアートディレクターなどは、ソリューションのデザイナーと言える。求められる事は、要望を理解する能力と解を考える力、そして人脈など。
あと1つ、「マルチタレント」のデザイン。何かを極めた「職人」ではないが、技術に精通しており、どんな要望が来てもとりあえず応えられるという部類のデザイン。例えば、最近増えたと感じるが、ウェブデザイナーから始まり、DTPもやる、またはその逆。頼まれたことはとりあえず引き受ける事ができます、というデザイナー。求められる事は、出来ないと言わないこと。
以上が将来的に価値を産み出すデザイナー。
さらに1つ加えるとすれば、「フロンティア」のデザイナー。これは例えば、iPhoneなどの新しいデバイスが出た時に即座に技術対応できること。ただし、これはその時の最新の技術対応ができるだけでは価値を産み出さず、常にフロンティアであることが求められるため、デファクトスタンダードであり続けなければならないという、矛盾性のようなものを孕んでいる。したがって、本質的にそのような価値を永続的に持つデザイナーはいないだろうし、価値が様々なデザイナーを移動していくはずだ。
昨今のデザイン業界事情は厳しいと言われるが、インターネットの登場によりテレビの速報性が薄れて来たのと同様に、もうかつてのような「作る」だけのデザインに価値を求られることはもうほぼないに等しく、『デザイン』の定義は曖昧なまま、より多様にかつ深化していくと思われるが、「デザインをやりたい」という時、上記の3つないし4つのカテゴリーの、どこをやりたいのか明確にしておくべきだ。
