September
05

価値を生み続ける「デザイン」の3大系

狭義のデザインというのはDTPが登場した時点でコモディティ化に向かってて、それは今も一層加速している。今後価値を生むデザインは、1つは職人、1つはソリューション、1つはマルチタレント、の3つに分化していくだろう。

『デザイン』というとき、多くの人はイラストや装飾で工夫を凝らす事によって体裁を保てるという意味に感じることが多いようだ。それは、かつて、文字を置いたり、写真を載せたり、というまさに「作る」作業それ自体が専門性を持ち、そこに価値があったからである。

Macの登場でDTPが一般に普及し、「作る」デザインのコモディティ化は今も加速している。そして、それらの相対価値は恐るるべく下がっている。中国や韓国などに外注されるケースを挙げるまでもなく、肌で感じることであろう。

「作る」デザインの価値の枝葉が冬枯れによって落ちる時、今後、幹として残るであろう『デザイン』の価値は、主に次の3つに分化していくだろうと想像できる。

1つは、「職人」のデザイン。これは、いわゆる「デザイナー」が最も得意とするところで、インクや紙のことを知り尽くし、レイアウトを知り尽くし、クオリティの高さで勝負すること。または、タイプフェースデザイナーや、イラストレーター化したデザイナーもその中に含めることが出来る。求められる事は専門性であり、経験と才能。

もう1つは、「ソリューション」のデザイン。コンサルティング能力と、ディレクション能力を兼ね備え、最適な解を導き出すことによってクライアントの要望に最大限応えるデザイナー。広告代理業を主体とするデザイン会社や、広告代理店のアートディレクターなどは、ソリューションのデザイナーと言える。求められる事は、要望を理解する能力と解を考える力、そして人脈など。

あと1つ、「マルチタレント」のデザイン。何かを極めた「職人」ではないが、技術に精通しており、どんな要望が来てもとりあえず応えられるという部類のデザイン。例えば、最近増えたと感じるが、ウェブデザイナーから始まり、DTPもやる、またはその逆。頼まれたことはとりあえず引き受ける事ができます、というデザイナー。求められる事は、出来ないと言わないこと。

以上が将来的に価値を産み出すデザイナー。

さらに1つ加えるとすれば、「フロンティア」のデザイナー。これは例えば、iPhoneなどの新しいデバイスが出た時に即座に技術対応できること。ただし、これはその時の最新の技術対応ができるだけでは価値を産み出さず、常にフロンティアであることが求められるため、デファクトスタンダードであり続けなければならないという、矛盾性のようなものを孕んでいる。したがって、本質的にそのような価値を永続的に持つデザイナーはいないだろうし、価値が様々なデザイナーを移動していくはずだ。

昨今のデザイン業界事情は厳しいと言われるが、インターネットの登場によりテレビの速報性が薄れて来たのと同様に、もうかつてのような「作る」だけのデザインに価値を求られることはもうほぼないに等しく、『デザイン』の定義は曖昧なまま、より多様にかつ深化していくと思われるが、「デザインをやりたい」という時、上記の3つないし4つのカテゴリーの、どこをやりたいのか明確にしておくべきだ。

May
09

人間の気持ちに訴えかけるiPad

iPadで出来る革新的なことは、他のモバイルコンピュータでも十分可能。でも、それをやろうとした人はいなかった、いても誰もすごいと思わなかった。iPadでやると賞賛される。そこがポイントであって、「器」の大事さを語っている。

めちゃくちゃ美味しいご飯があったとして、それを茶碗で食べる。一方、オシャレなレストランで平皿に乗せられて運ばれて来たご飯を食べる。旨さは同じだろうか?最終的にインプットするのが人間である限り、人間の感情によって事象は変化する。

感情を高揚させ、期待させる。このレストランであれば、旨い飯が出てくるに違いない。美味しく食べられるに違いない。そういう期待感をもって、食べたご飯はやはり旨い。そんな気持ち良さを作る。コンピューティングも同様のことだ。

机に向かってキーボードを叩く、というのは誰もが重苦しくて暗いイメージを抱いていた。パソコンを起動して、アプリケーションを開く、一連の動作は事務的で、面倒だと感じられていた。それはMacもやはり同様であった。そのスタイルを変えたのは、携帯電話というモバイルコンピュータだったが、携帯電話で複雑なコンピューティングを行うには、結局面倒な操作が伴った。それは、電話用に設計されたコンピュータであった。

iPadは上記のようなことを変えた。気軽に、楽しく、使えるコンピュータとしてiPadを作った。それは薄型で、タッチパネルで、非マルチタスクであった。それは、技術を駆使しているが、その技術を複雑化のためではなく、単純化のために使った。レスポンスを高め、ビジュアルで分かりやすいインターフェースを作るために使った。人間の気持ち良さのために。

通常、面倒だが、それしかないし、そうであるものと思い込んでいるので、それをそのまま使っている、という例は実際多い。しかし、そこに人間のストレスは必ず存在している。人間が気持ちよく生活できるための発想、人間の気持ちに訴えかけるモノ、そういった思考が重要であることを改めて認識する。

April
30

小さな組織と大きな組織は何が違うか

プロモーションの世界に身を置くと、製品の良し悪しよりプロモーションの重要性を感じる。メーカーの世界に身を置くと、製品の性能が良いことが重要だと感じる。職能が分散している場合、個々の担当者はそれぞれがベストの行動をとれば価値が最大化するだろう。

では、マネジメントの立場に立ち、人的資源や時間資源などのコストをどこにどれぐらい配分するか、という問題は結構難しい。だが、もし、多数の人員で構成させる組織であり、投資可能資源が人数や金額という数値に変換されて示すことができる場合は、重視する部門の数値(すなわち人数や金額)を高めていけばいい。

では、製造して、プロモーションする、という一連の流れを単独の人間が行う場合は?これは時間資源と所持金といった数値に変換される。自分をマネージメントしてそれらの配分を決定しなければならない。かつ、完成度を自分で判断し、どこを期限とし、どこを妥協点として見出すか。意思決定も行う必要がある。これは、相当難しい。

少人数制、と言うのは簡単。大きな組織にはそれなりに意味がある。

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