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Jan
05

Less But Better。ディーター・ラムス展を見てきた

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LESS BUT BETTER。削ぎ落としてより良いものを創る。それはデザインの本質ではないか,とさえ思う。

ドイツ・バウハウスの機能主義の流れを汲むディーター・ラムスは,ブラウン社に所属しながら,ともすれば複雑化に向かいやすい家電製品のデザインチームを,エンジニアチームと密に連携をとりながら,シンプル化を図る努力を重ねたという点で,大きな功績を持っていると言える。

私は深澤直人の「無印良品」や「±0」のデザインに大変感銘を受けたし,もっと言えば,Appleの「iMac」や任天堂のコントロールパッドに対する考え方も,自分のデザインへの向き合い方の一つの根源となっている。それらは意図してかそうでないかに関わらず,全て機能主義の継承者であることは確かである。

デザインはアートではない。大量消費社会において,同質的製品の差別化を図り,最も人間と製品とのコミュニケーションを上手にとれたものがその覇者となるのであって,それは工業製品のプロダクトデザインであれ,広告などのグラフィックデザインであれ,同じことである。我々人間が求めているもの,それにマッチするデザイン,そこに産まれる安堵感。それが機能主義であると言えると思う。デザインは主張せず,しかし確かに存在しなければならず,あたかもそれが当然のごとくそこにあったかのように振る舞うことが正しい道だと思う。

今日,数々のディーター・ラムスらのデザインを見るにつけ,その無駄のなさには驚かされる。必要であるからそういう形をしていて,しかも美しく,まとまっているのである。それは,まさに,機能とデザインの双方から歩み寄るように手を取り,その手がカッチリとハマるかのようである。

なぜ工業製品は複雑化に向かうのか。こんな話を聞いたことがある。なぜテレビのリモコンはボタンが増えるばかりで,減ることはないのか。それは,ボタンの各部品メーカーへの発注量を維持し続けるためだ。機能を増やすと,ボタンが増えても減らすことは下請けメーカーに申し訳ないからだ,というわけである。

それが本当かどうかは知らないが,人間は変化を恐れ,慣例や前例に従っていると安心できる生き物だ。それが利潤追求を目的とする企業ならば,なおさらリスクを低減したいであろうし,集団で何かの意思決定をする際には異端の意見は滅されやすいことは確かである。

だから,削ぎ落として単純化を図るという行為そのものが発生しにくい事態であるし,単純化というのは複雑化よりもよっぽど難しい作業で,何を残して何を落とすかという選別に最大限の注意を払う必要が出て来る。それは多大なリスクと労力を必要とする行為なのである。

だが,我々はそれを望んでいる。製品デザインは製品と人間のコミュニケーションであるが,人間と人間のコミュニケーションでもある。自然界のものを我々は,どうすればいいのかと悩むことはない。食物があれば我々は食すのである。ところが工業製品は人工的に生み出されたものであるから,その製品の作り手と使い手の間には思考のギャップが必ず存在するのである。それらのギャップを埋める作業をするのがデザインであって,それらは何も考えずに使用できるのが理想である。取扱説明書を読まなければならない携帯電話なんてうんざりなのだから。

機能主義。本当は,デザインの根底に必ずあるべき考え方だろう。しかし,ともすれば見失いがちなのもまた事実だ。これを機会に,ディーター・ラムスが私の後ろで常に目を光らせていると思って,デザイン作業を進めてみたい。もっと洗練されたものが出来上がるだろうか。

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